藤吉ネット|誹謗中傷問題を扱う弁護士藤吉修崇

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新型コロナウイルスに感染してフィットネスクラブで他人に感染させた場合の法的責任

最近問題になっているのがウィルスに感染していながらもフィットネスクラブに通うなどをしている方達です。

 

www3.nhk.or.jp

 

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もし仮に感染者が外に出歩いて、そのことが原因で他人に感染させてしまった場合、その人は法律上何らかの責任を負うことがあるのかと言う事について現役の弁護士が解説していきたいと思います。

 

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不法行為とは

こちら問題となる法律の規定として民法709条の不法行為と言う条文が問題になります。

この不法行為の条文は他人の財産や身体などを侵害した場合にそれのよって生じた損害を賠償すると規定しております。

つまり、自分が原因で他人に何らかの理由でコロナに感染させた場合はこの条文によって法律上損害賠償義務を負うことになるのです。

 

第709条 

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

条文を読むと損害賠償を負うための該当する要件は以下のようになります。

  • 故意又は過失によること
  • 他人の権利又は法律上保護される利益を侵害したこと
  • これによって損害が生じたこと(因果関係)

それぞれ解説していきたいと思います。
この故意と言うのはわざと人に感染させることを言うのですが、さすがに他人に感染させることが目的で出歩く人は非常に少ないのかなとは思います。

 

www2.ctv.co.jp

 

もちろんこのような行為を行った者は下手すれば傷害罪や威力業務妨害などの刑事罰に該当することもあり得るので充分注意する必要があります。

 

2法律上の過失とは

では感染していることをわかっていながら、まさか人には感染しないだろうと思って(中には感染させてもいいやと思う人がいるかも知れませんが、そのような場合故意に近くなると思われます。)、人がいる場所にでかけていった場合、過失にあたるのかと言うことを検討したいと思います。

過失とは、何らかの注意義務があることを前提にその注意義務を違反することとされており、例えばこれが法律上外出禁止規定された場合、故意または過失に該当するのは明白となります。

今週にもそのような法律改正が目指されているようです。

www.tokyo-np.co.jp

 

では、このように外出自体は禁止されていない場合はどうでしょうか。

 

3人の健康というのも法律的に保護されている

そもそも過失と言うのは先程述べたように、注意義務違反ですよね。

そして、人の健康とか身体的な安全と言うのは、これは民法709条で「法律上保護された利益」に該当するとされております。

よって、例えば自分が新型コロナウィルスに感染していることを明確に認識していた場合、これだけテレビの報道で感染力が強い事が言われているわけですから、自分が人の多いところに出かけることをすれば、他人に感染させること及び他人に感染させる可能性について認識していたといえそうです。

そうすると他人に感染させないために外出などを控えると言う事は、これは法律上保護される利益を侵害させないために気をつけるべきこと、つまりも必要な注意であると言えると考えられます。

 

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結論的にはコロナに感染していることを知って外出する行為と言うのは、他人に感染させると言うことに対して少なくとも過失はあったと言え、仮に他人を感染させてしまった場合不法行為が成立し、法的な責任を負う可能性が高いと思います。

 

4損害賠償義務の有無とその範囲


そしてこの行為により他人が感染してしまった場合、仕事ができなくなって給与がもらえなくなったとか、売上が減ったとか、病院に通う治療代がかかったりとか、病院まで行く交通費がかかったりとか、そういった損害が生じるのは「これによって生じた損害」と言えると考えられます。

自分がコロナウィルスに感染していることを知っていながら外出することにより他人に感染させた場合はこれらの損害を賠償する義務を負うと言えるでしょう。

 

5感染はしていると思わなかったがそれらしい症状が出ていた場合

では、新型コロナウィルスとは確定的な診断を受けていない場合で、例えば風邪のような症状が出ているだとか咳が止まらないといった場合に外出をして他人に感染させてしまった場合に損害賠償請求をされる可能性があるのかを考えてみたいと思います。

 

やはり、普段から風邪と言うものは皆がかかるものでありまして、特に現在気温の差が激しいので、単なる風邪とコロナウィルスへの感染の区別と言うのは比較的難しいかなと思います。

ただ現在コロナウィルスの検査の対象となるガイドラインが定められ、これらに該当しているにもかかわらず人が密集しているような場所に自ら積極的に出かけていくような場合は、コロナウィルスを感染させたことに対する少なくても過失はあるんじゃないかと考えられます。

 

検査要件

ア 発熱または呼吸器症状(軽症の場合を含む。)を呈する者であって、新型コロナウイルス感染症であることが確定したものと濃厚接触歴があるもの
イ 37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたもの
ウ 37.5℃以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、発症前14日以内にWHOの公表内容から新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域に渡航又は居住していたものと濃厚接触歴があるもの
エ 発熱、呼吸器症状その他感染症を疑わせるような症状のうち、医師が一般に認められている医学的知見に基づき、集中治療その他これに準ずるものが必要であり、かつ、直ちに特定の感染症と診断することができないと判断し(法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症に相当)、新型コロナウイルス感染症の鑑別を要したもの

 

なので、ガイドラインをよく読んでコロナウィルスに感染している可能性が高いと自分が認識できる場合は、人が密集する場所などに積極的に出かけていくような事は控えたほうがいいかもしれません。

 

6病院に行く場合

そうは言っても、感染を疑われている場合は病院に行く必要があり、そこでもし仮に他人に感染させてしまったような場合にまで、損害賠償請求される可能性があるのでしょうか。

先ほど述べたように過失と言うのは注意義務違反であり、注意義務をしっかりと果たしていれば損害賠償請求をされることはないと言うことになります。

具体的にはマスクをする、他人との濃厚接触を防ぐ、やたらに公衆の施設に触れたりしない等を守ったうえで病院に最新の注意を払って行く必要があるかと思います。

これらの注意をしっかり果たした上で病院に行くことが大切です。

ここまでやれば、少なくても損害賠償請求を負う可能性はかなり低くなります。

 

7まとめ

これまで述べたように自分がコロナウィルスに感染してしまった、もしくは感染が疑われるような状況の場合はどうしても病院などで検査に行く必要があるような場合を除いて外出を控え、やむを得ず外出が必要な場合は他人にうつさない配慮をした上で出かけるようにしてください。